栄養のプロが勧めるオンラインサービス活用法とは?(ヘルスケアアプリ雑談会)

レビュアー:渡辺 武友 HALアプリレビュー | 2016年5月19日 木曜日
                        
研究員によるデバイスやアプリのレビューをお届けしてきた当コーナー、今回は、あらゆるカラダのデータを記録・管理できるアプリ『CARADA』を提供する株式会社エムティーアイの管理栄養士 川端史紀さん(以下、敬称略)、当研究員で『あすけん』を提供する株式会社ウィットの管理栄養士 道江美貴子さん(以下、敬称略)に登場いただき、栄養のプロによるオンラインサービスの活用のポイントを教えてもらいます。今回も、たくさんお話しを伺ったので、何回かにわけて掲載していこうと思います。 今回は、「お二人がなぜオンラインサービスをはじめたのか?ユーザーさんに響くポイントは何か?」聞いていきます! (ヒアリング&撮影:渡辺武友) 第一回座談会

出席者/左から、道江さん、川端さん

お二人がやっていたリアルな指導とは?

渡辺 「お二人はオンラインでの指導の前は、リアルでの指導をやっていたのですよね?」 川端 「私は精神内科(クリニック)の患者さん、遺伝子検査会社で検査を受けた方、サプリ会社でのカウンセリングを直接の面談や電話での対応をしてきました。以前はフリーランスでしたので幅広く経験してきました。 他には個人で募集をかけて、経営者の方、知人など、いろいろなタイプの方をサポートしてきました」 渡辺 「個人で指導していたときのテーマは、ダイエットが多いのですか?」 川端 「ダイエットだったら、他の企業さんでも提供していますので、企業で提供していない“不定愁訴”が多かったです。 冷えや便秘で悩んでいる方、子宮筋腫の治療後も貧血で悩んでいる方など、他の企業だと、疾病を抱えている方は断られることがあるんですね。そのような方をサポートしてきました。 あとは究極の健康オタクな方とか(笑)サプリの摂り方について詳しく教えていったりしていました」 渡辺 「不定愁訴は、症状によって難しいのではないですか?」 川端 「そうですね。当然栄養指導はプラスになるのですが、“治す”ということではなく、症状の緩和という方が適切かもしれないです。治すためにどうしたらよいかばかり考えてしまうと、症状がなかなか改善されないと焦ってきてしまうんです。ですので、安心感を与える意味でも、寄り添って支えていくことが大切です。支えてくれている人がいるから、何かちょっと楽になってきたと感じてもらいたいと思っていました」 道江 「カウンセラーみたいに?」 川端 「そんな感じですね」 道江 相談されたとき、今までいわれたことがないような症状とかありません? 川端 「あります!へバーデン結節っていわれたことがあって、『何だ?それ??』と思いながらも、『そうですか』と落ち着いて返しながら、パソコンで必死に調べてました(笑) 調べながらお話しを聞いて想定できましたので、『詳しくお調べしてお答えしますね』とお伝えしました」 渡辺 「個人の方の指導は電話ですか?」 川端 「まずは会います。最初はお互いに不安ですから。お金のやりとりも発生しますし。次からは電話ですが、定期的に会っていくこともあります」 渡辺 「道江さんはどうだったのですか?」 道江 「私は大学を卒業してからずっとフードサービス企業大手のグリーンハウスにいます。 入社当初は社食でメニューを考えるのが主な業務でしたが、ウィットに転籍する5年前くらいから健康指導を担当するようになりました。 主に企業の社員食堂で、従業員の人達への健康アプローチをしていました。今でいう保健指導のようなものですね。メタボの人達向けにセミナーを行ったり、個人面談をすることが多かったです。特定保健指導が施行される前から、そのようなことをやっていましたね」 渡辺 「指導は複数回やるのですか?」 道江 「いいえ。例えば血圧がちょっと高めな人なら、数値を見ながら高血圧予防の話しをするような一回で終わるものでした」 渡辺 「どんな課題がありました?」 道江 「指導を受けてくれる方々が気持ち良く帰ってくれるのなら良いのですが、中には何で呼ばれているのか分かっていないような人もいる状況でした。『行けって言われたから来たよ』みたいな感じで(笑) まずは前向きになってもらう、プラスになる場であることを知ってもらうのが最初のゴールでした。やりたくないって気持ちから、少し前向きになってもらうような。時間も30〜40分くらいでした。 セミナーだとグループワークを入れて楽しんで出来るので、そっちの方が回数的には多かったですね。50〜60人に集まって頂いてグループを作って、自分の食べた物を皆で書いていって気づきを得ていくようなものです」 川端 「健康指導は、カウンセリングでも大変な方ですよね?達成感が見えにくかったり…」 道江 「そうですね。まだ準備期にも入ってない方々でしたので。 今はあすけんのユーザーさんを対象に不定期でリアルなダイエット教室をやることがあるのですが、自ら申し込んでくれる人達なので、やる気満々でとてもやりやすいですね。気持ちのサポートを一生懸命やれば、続けて取組んでくれるのも見ていけますし」  

オンライン、やってみて気づけた点は?

talking渡辺 「なぜウィットでオンライン指導をはじめようと思ったのですか?」 道江 「社食の仕事も凄く好きだったのですが、以前から栄養相談の方に興味があって、そういう仕事を追求していきたいとの気持ちがありました。社内であすけん事業を立ち上げる管理栄養士の募集があって、それに応募しました。ちょうど、自分の中で何かを変えていきたいタイミングだったので」 渡辺 「川端さんは前職ではオンライン指導をしていたのですか?」 川端 「オンラインも取り入れていましたね。LINEを使ってみたらコミュニケーションがしやすくなりました。エンタメ性が出るんですよ!例えばスタンプを使うと、私とやり取りしていることが、友達とのやり取りみたいな感覚で楽しくなって継続してくれる人が増えていきました。 その前は1ヶ月に1回会ったり電話で少し話したりだったので、なかなか続かなかったような人もいたのですが継続しやすくなりましたね」 道江 「メールとは違いました?」 川端 「違いましたね。LINEだと、かしこまった言葉にならないじゃないですか!?写真が送られてきたりすると、『おぉ!その奥(に写っている)のはもしかして、昨日いってた…』とか。面白いコミュニケーションのやり取りができるんですね。 もしかしたら栄養のサポートにも、“楽しんでいたら健康になっちゃった!”というような雰囲気作りが必要な気がします。オンラインは特に」 渡辺 「川端さんはLINEを使ってオンラインによるコミュニケーションの有効性に気づいていったとのことですね。 道江さんはあすけんの立ち上げから携わっていたわけですが、オンラインの活用は当初想定していたことと違いはありますか?」 道江 「違いましたね。そもそも最初に想定したターゲットは、メタボの40代以上の男性でした。ITが苦手な人でも使いやすいサイトを目指しました。1つ拘っていたのが、栄養士が栄養相談をwebで再現できることでした」 渡辺 「元々は男性向けに直接指導していたじゃないですか!?オンラインは更に厳しくないかな?とは思いませんでしたか?」 道江 「当時は特定保健指導がはじまるときだったので、義務化で保健指導を当たり前にやるという前提で動いていました。グループに1500人の栄養士がいるので、ウィットでツールを用意すれば保健指導できるだろう。と考えていました」 渡辺 「なるほど。当時はそういう空気でしたね」 道江 「そうなんです。義務化だからと誰も疑問は持っていなかったですね。それが実際にスタートしてみたら、まったく状況が違う。これはヤバイぞ!みたいな(笑)」 渡辺 「当時、オンラインだったからよかった点もありましたか?」 道江 「法人向けはこのままでは厳しいと感じてきて、思い切って個人向けに展開したんですね。まぁインターネットだし、とりあえず個人に出せば使ってくれる人いるよね?なんて話しで(笑) まずは無料でスタートしたら、最初こそ100人くらいしか使ってもらえなかったのですが、あるとき女性が凄い勢いで入ってきまして。ちょうどレコーディングダイエットブームがはじまったときです。それからは一気に増えましたね。利用者が何万って単位にまでいきましたから」 川端 「波がきちゃったんですね(笑)」 道江 「そうなんですよ!最初は無料だったわけですが、人数が集まるのだったら事業も成り立つのではないかってことになり、メタボからダイエット向けに転換していきました。コンテンツ的には活用できますので、より女性とのコミュニケーションを意識したものに変化していきました」  

リアルとオンラインのそれぞれ適した役割

渡辺 「お二人の視点で、特定保健指導のように対象者がやる気のない人達って、なんとかしていけるものなのですか?」 道江 「全員は難しいですよね。もちろん、ちゃんとやってくれる、変わってくれる方はいます。 6ヶ月間人に見てもらえているときは頑張れて、数値的にもけっこう効果を出している人はいました。最初はやる気がなくても、対面だったらそれなりにやる気を起こしてもらえると思います。 ただ、支援が6ヶ月で終わってしまうので、その後がキツイんだと思います」 川端 「栄養士のスキルも大きな要因ですよね。栄養士によっては何人も継続させている人もいれば、2〜3人で悪戦苦闘している人もいるので、初回カウンセリングでの動機付けの仕方はとても大事なのではないかと思います」 道江 「相性もありますからね」 渡辺 「指導後の課題とは何でしょうか?」 道江 「毎月電話したり、メールしたりとかしてくれるからサボっても、『よし、また頑張るぞ』となれるのですが、6ヶ月後にサポートがピタっとなくなってしまうと、そこから自力で習慣化して頑張りを続けるのは難しいことだと感じます。せっかくやる気になれたのにもったいないと思ってしまいますね」 渡辺 「6ヶ月後も指導が続けられれば、プロとしてはやりようがあると?」asuken 道江 「あすけんなどのwebやアプリ・サービスを、保健指導後の自己管理ツールとして使うといいと思います。費用も安いし、気持ち的に今までの行動を維持しやすくなると思います。webやアプリの使い道って、そういう所にもあるのかなと思うんですよね。動機付けがされた状態だったら、自分に適したアプリなどを探すことができますからね。 アプリとかって、そもそも探そうっていう気がなければ絶対ダウンロードしないので。準備期~実行期に移っている人でないと手が伸びないですよね!? 無関心期の人には人的サポートがないとなかなか変えられないと思います。ですから保健指導は、無関心期の人と少しずつ接触しながら、準備期~実行期に育てていくことができるものだと思います。そこが凄く大変ですから。実行期にきたら、あとはアプリとかに任せてもらっても、ある程度やれるようになると思います」 carada渡辺 「川端さんがCARADAで行っている指導は3ヶ月くらいですか?」 川端 「サービス自体は月額なので、1ヶ月で終わる方もいればもっと続く方もいます。健康診断結果の改善がメインなので、ほとんどの検査数値が変化する期間として、3ヶ月というのは一つの目安にはなります。法人向けでは要望に合わせていろいろなパターンを設計しています」 渡辺 「サービスがスタートしてまだ日が浅いですが、法人向けでは、もうワンセット分終了したなどもあるのですか?」 川端 「そうですね。法人向けではない別の案件ですが、サポート終了後お客様個人で継続していただいている方もいます」 渡辺 「それは会社ではなく個人でお金を払うってことですよね?やっぱり見てもらった方が良いよねってことに気づけたわけですか?」 川端 「そうだと思います。また、『無理してない』とか『楽しい』という感覚があったから続けようと思ってくださったのだと思います。 健康になったという体感も大きな理由だと思いますが、大事なのは“無理せず楽しみながら自分のペースで着実にゴールに向かっている”との感覚があったからだと思います」 渡辺 「テーマは減量が多いのですか?」 川端 「多いですね。もちろん健康診断結果の改善がメインなのですが、コレステロール値や中性脂肪値や血糖値が高くなるのも、根元にあるのは内臓脂肪型の肥満なので、それを落とすための減量は基本ですね。 『筋力をつけたい』というような声も多いです。他には、不定愁訴もみます。冷えや便秘なども併せてサポートしています。 企業さんによっては強制で受けさせるところもありますが、先程の道江さんがいったように最初が大変ですね。そもそもアプリをダウンロードしてくれないですから(笑)」  

ポイントは最初の動機づけとコミュニケーション方法にあり

渡辺 「法人提供ではじめた人がサービス価値を理解して、その後自分でお金を払うのはわかるのですが、最初から個人利用の方は、どうやって有料のハードルを超えていくのでしょうか?」 川端 「最初に無料でカウンセリングをします。健診結果や生活習慣についてヒアリングさせていただいた後、問題点を抽出して改善ポイントの提示をするまで行います」 道江 「人がちゃんと見ていくのですか?」 川端 「そうです(笑)」 道江 「わー、大変!」 川端 「メチャメチャ大変です(笑)そこでいかに『私のことわかってくれてる』『見てくれてる』『楽しいかも』と思ってもらうかですよね」 道江 「どうやって心を掴んでいるのですか?」 川端 「一つは、信頼関係の形成や安心感の提供を、他愛もないコミュニケーションを交えながら行っています。また、淡々と『あなたの健診データは…』と指摘したりアドバイスしたりするのでなくて、情報を小出しにしたり、コナンの謎解きのような感じで、相手をハッとさせるような演出をするんです。『実はここに大きなミスがあるんですよ!』とか『もしかして、朝のどがカラカラになっていたりしませんか?』という感じです」 道江 「なるほど!そういわれたらやるしかない感じですよね(笑)」 川端 「栄養指導って、敬語をきちんと使って敬意を表するとか、『ましょう』言葉はやめましょうとかいわれるのですが、アプリの中では硬い表現はつまらないと思います。ワクワクしてこない。あくまでもアプリなので、私達とチャットするのを楽しみにしてもらえるようにならないと続かないですね」 渡辺 「あすけんでの表現も、けっこう苦労してきたのでは?」 道江 「そうですね。私達も、最初は真面目な栄養士さんのアドバイスからはじまっているので、まだまだ出来ていないことはあるのですけど、やる気につながることを意識していますね。今はよい点を見つけて、褒めることをどんどん出していこうとしています。 例えバーチャルでも、相手を思っていることが伝われば良いコミュニケーションができますので」 渡辺 「あすけんから毎日届くメールって、自分のために書いてくれていると思っている人、多いみたいですね?」 道江 「そうなんです。ありがたいことに! この間、私が講演をさせてもらったとき、あすけんを使ってくださっている40〜50代くらいの男性がいたのですが、毎日チアメールを送るのは自動のアルゴリズムで出しているって話しをしたら、『自動じゃないと思っていたのでショックです!』っていわれてしまいました(笑) 提供者としては自動であっても自分ごととして感じてもらえるよう、意識していますので、そう感じていただけていたのは良かったとは思います」 川端 「大事ですよね、そういう工夫」    

今回のお話しで、コミュニケーションを含めたサポートを受けると継続しやすくなることがご理解いただけたと思います。とはいっても、アプリで有料サービスはまだまだ敷居が高いのも実態です。 次回は、現在有料サービスを利用しているユーザーさんが、なぜお金を払ってでも取り組もうと思えたのか?ユーザーの心構えについてお聞きしていきます。 近々掲載しますので、少々お待ちください!!

注)この雑談会は4月8日に行いました。その後あすけん、CARADA共に仕様やサービスに違いがある場合があります。 >> 有料の壁も取り払え、楽しく効果的なダイエットへ(ヘルスケアアプリ雑談会)
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